はじめまして、田舎の楽しみ通信隊長のまつもとです。
私は、高知県室戸市で生まれ、神奈川県横浜市で育ちました。
高知県室戸市は、四国の南東の先端に位置し、室戸岬を有する、ど田舎です。
学生時代は、夏休みに室戸に帰省することが、一番の楽しみでした。
海岸沿いにある祖父母の家から、お墓と国道を通ると、すぐに浜辺に出ることができます。
夜は晴れると、嘘のように星が輝き、波の音が聞こえます。
帰省すると、孫への祖父母の配慮から、昼間は何度か見たことがある観光地に行ったり、買い物に行ったりします。
ある日の夕方、近くの海に釣りに行きました。
漁師である祖父の作った道具は、釣り竿は竹で2メーター位、糸に針とオモリとウキをつけたシンプル仕掛けです。
祖父と釣竿とバケツを持って、歩いてすぐの砂浜に行きました。
都会育ちの私は、あまり期待していなかったことを覚えています。
竿にはリールもついてないので、砂浜に立って糸を垂らすと、波打ち際、膝くらいの深さのところまでしか届かないからです。
半信半疑でいると、キスが次々と釣れるのです。驚き、夢中で釣り続けました。
水中メガネをつけ、海と陸の狭間にしゃがみ込んで目を凝らすと、キスがいるいる!
いつも泳いでいるけれど、ここにキスがいることを知りませんでした。
すると、おもむろに祖父が大きな伊勢海老を持っきました。50m位離れたところにある磯に潜って、モリで突いてきたのだと!
当時の私は、伊勢海老のような高級品は、自分の知らないような、特別なところでしか取れないものだと思いこんでいました。
室戸でも伊勢海老が取れるんだ、しかも家のすぐ近くの海で!
おじーちゃんに尊敬のまなざしキラキラ!
私もモリを持ってチャレンジしましたが、うまく行きませんでした。
モリを持って潜ると、海の生き物は逃げるわけでもなく、逆にこちらが見られている気がしました。潜ってモリを放つ、その瞬間だけ、ちょっと動いてかわされるのです。
しかたなく、岩に無防備にへばりついている「磯物(いそもの)」と称される巻貝を、潜って海水パンツ一杯にとってきました。
そのとき、タツノオトシゴが浮遊しているのを見て、目を疑いました、お魚図鑑の中の話だと思っていましたから。
夕方の1時間ほどで収穫した、海の恵み「キス・磯物・伊勢海老」を家に持ち帰ります。
玄関を通らずに、外から直接入ることができるお風呂で、体の隅々の砂を流している間に、祖母がキスの天ぷら、伊勢海老の刺身と味噌汁、磯物の茹でたものを作ってくれ、夕食となるのです。
都会育ちの私は、こんな夏を過ごすことが、とても楽しみでした。
そのころ、祖母は口癖のように「田舎には、なんちゃーない」と言っていました。
確かに、四国の先っぽ、辺境のど田舎ですので、都会的なものは無かったなかったのですが、都会育ちの私にとっては、日常生活で感じることのできない「田舎生活の楽しみ」に溢れていました。
このような刺激的な経験を求めて、毎年夏に帰省することを楽しみにしていたのです。
今では夏休みに子供たちをつれて、自然に触れて遊ことを経験させています。
あの時食べた夕食を超える経験はあるのかな?と思います。
都市部でも大金を払えば、美味しい感動には出会えますが、それは私のようなサラリーマンにはかなり奮発した贅沢であり、日常とはかけ離れたものなのです。
今回は、子供のフィールドで感じる「田舎生活の楽しみ」の一例を紹介しました。
私たちのビジョンは「田舎生活の楽しみを日常的に感じて、次世代に承継できる社会」です。